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ハンセン病家族訴訟勝訴判決

img_31816月28日、熊本地方裁判所が、ハンセン病の病歴者家族561名が原告となって国を相手に損害賠償などを求めた訴訟において、ハンセン病隔離政策が病歴者本人のみならず家族らに対しても違法な人権侵害であったことを認める判決を言い渡しました。
私も弁護団の一人として、原告やたくさんの支援者の方と一緒にこの判決の言い渡しに立ち合いました。
この判決は、厚生大臣及び国会議員の責任を認めただけではなく、らい予防法廃止後にも厚生及び厚生労働大臣、法務大臣、文部及び文部科学大臣に対し、家族に対する差別偏見を除去すべき義務に反した責任を認めた画期的なものです。
また、裁判所は、家族たちが差別を受ける地位に置かれ、また家族関係の形成を阻害されたとして、憲法13条の保障する人格権侵害及び憲法24条の保障する夫婦婚姻生活の自由の侵害により家族たちに共通する損害が発生したことを認めました。
家族の方の被害は多様で、一部原告の方の賠償や、生涯にわたって大きな影響を受けられた方に対し十分な賠償額は認められなかったため「全面勝訴判決」とはいえませんでしたが、原告本人尋問や原告の意見陳述が裁判所を動かしたのだと感じました。
幼少期に父が入所した後、父が亡くなるまで離れて生活し、周囲の目を気にして結婚式にも呼べず、頻繁に会うこともできなかったという原告さんは、ラジオで判決の一報を聞いて涙が止まらなかった、亡くなった母にも聞かせたかった、とおっしゃり私も胸がいっぱいになりました。
今後は、国に控訴断念を迫り、差別・偏見の解消や家族関係の回復に向けた施策の協議の開始を求めていきます。ぜひ関心を持っていただき、ご支援をいただければと思います。

弁護士 小出 真実(宗像オフィス)

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