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いのちに優劣はない~旧優生保護法違憲国家賠償請求福岡訴訟から

皆さんは、優生保護法下での強制不妊手術をご存じでしょうか。
人為的に優秀な子孫を産む方法で国家・民族を発展させるという思想である優生思想が、命に優劣をつけ選別をしてしまうような方向に進んだ結果、戦時中の1940年、遺伝性とみなされた障害者、病者に強制不妊手術を認める「国民優生法」が成立しました。
戦後の1948年、「優生保護法」への法改正後にも強制不妊手術の規定が引き継がれて、1996年、母体保護法への改正時に強制不妊手術の規定が削除されるまでの間、知的障害や遺伝性の疾患を有する方に不妊手術を強いることが認められていました。
本来、権利や自由を守るための法律が、差別を生み出して、助長し、遺伝性の障害を持つ方は劣等であるという不当な烙印を押し続けていたということです。
なお、この1996年は、ハンセン病患者への長きにわたる強制隔離政策を続ける根拠となった「らい予防法」がようやく廃止された年であり、その後の提訴、勝訴判決につながっています。

旧優生保護法違憲国家賠償請求訴訟は、この優生保護法下での強制不妊手術等の被害について、仙台、東京、兵庫など全国各地で提起されている裁判で、福岡でも、2019年12月24日に提起されました。
当法人からも池永修弁護士と私が弁護団に参加し、原告、支援者の皆さんと一緒に闘っています。
福岡訴訟では、不妊手術を強いられた聴覚障害のある男性と、妻の女性が原告となり、これまでに3回の裁判期日が開かれています。裁判では、強制不妊手術の是非、優生思想による差別について追及しています。
本年5月は、優生保護法と同様に、国の法律によって、ハンセン病患者が強制的に隔離されていた政策が憲法に反すると断じた2001年5月の熊本地裁判決から20年です。
今こそ、優生保護法の問題をはじめ、様々な被害、根付いた差別や偏見、障害者の方々を取り巻く生活環境について、社会全体、お一人おひとりが知ってゆくことが問われているのではないでしょうか。
次回裁判は、本年8/2(木)14時から福岡地方裁判所にて予定されており、裁判後には報告集会も行っております。ぜひ、ご参加いただき、一人でも多くの方が、この裁判の意義を知っていただけますと幸いです。

コロナ禍において、本来公開裁判であるはずの法廷に出向けない、傍聴が出来ないなどの状況でもありますが、「いのちに優劣はない」というスローガンを掲げ法廷外での支援活動も行われておりますので、皆様の多様なご支援をよろしくお願いいたします。

弁護士 花田弘美(粕屋オフィス)

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