2026年6月20日、当法人が支援するNPO法人イルタテエが主催するボランティアスタッフ養成講座で講師を務めさせていただきました。
まず、NPO法人イルタテエについてご説明しますと、同法人は、「こども・若者が安心して自身の人生を歩めることを目標に、必要な社会資源を提供し、また、生活環境を調整することで、すべてのこども・若者が尊厳を持ち、社会を生き抜いていく力を育む」ことを目的として、フリースペースや学びの場の提供、専門家(弁護士、社会福祉士、医師等)による無料相談、住居支援等を行っている団体です。私も、定期的に福岡市博多区千代のフリースペースに出向き相談を受けています。
今回の講座では、「少年事件の手続の流れと支援の在り方」というテーマで講演をさせていただきました。
少年事件と聞くと、巷では事件数の増加や凶悪化の傾向にあると言われることがしばしばありますが、実際には、正反対の状況にあります。事件数は1980年代をピークに減少の一途をたどっており、凶悪犯と呼ばれる殺人や強盗、放火の事件数も減少傾向です。少年による凶悪犯については連日ニュースで取り上げられることが多いため、少年事件の増加・凶悪化というイメージを持ってしまうのかもしれません。
少年事件の手続きは、大人の刑事事件と比較しながら考えると理解がしやすいかと思います。最も大きな違いは大人の刑事事件は「刑罰」、少年事件は「健全育成」を目的としています。そのため、少年事件は必ず家庭裁判所が関わってきます。検察庁や簡易裁判所、地方裁判所は、少年の健全育成のための能力を持ち合わせていないからです。
もっとも、少年事件の端緒は、主に警察・検察の捜査(場合によっては逮捕勾留)になります。警察・検察での取り調べの結果は、家庭裁判所による少年審判の基礎にされます。少年は精神的未発達であるため、大人と比較して、やってもいない非行をやったと認めてしまう場合が多いというのが私の経験則です。「健全育成」を目的とする少年審判であっても、少年院送致や保護観察処分などが下されることになります。もし、やってもいない事実を理由にそのような処分がなされると、少年の将来に悪影響を与えることは容易に想像できます。このような事態を防ぐために、弁護士会は当番付添人制度を設けていますので、もし身近な少年が逮捕された場合には、迷わずに弁護士会に連絡していただければと思います。
弁護士は「付添人」として、少年が本当に非行を行ったのかを調査・検討するとともに、仮に非行を行っていたのであれば、再度非行に走らないように「環境調整」を行います。具体的には、家庭・学校・職場と対話し、少年が将来を前向きに捉えることのできる環境を作ります。もっとも、弁護士が「付添人」として少年と関わることができるのは少年審判が終わるまでのせいぜい1~2か月程度です。このような短期間で少年の気持ちを変えられるほど少年の人生や非行に至った動機などは簡単ではありません。この少年審判までの間に、弁護士に限らず多くの大人たちと接点を持たせ、少年審判後も「伴走者」となってくれる人物を作り出すことが少年の更生に必要であると考えています。
弁護士 坂口裕亮


