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宗像オフィス

人権セミナーに参加して

去る10月15日にNPO法人九州アドボカシーセンターが開催した人権セミナーにzoom参加しました。今回のテーマは「コロナ禍における雇用脆弱層の実態と弁護士の役割」です。労働審判が年間3500件前後で推移する中、特に今回は長期化するコロナ禍を理由に解雇や内定取り消しを受けた方の事例の紹介でした。

今年2月の人権セミナー「正規労働者と非正規労働者の格差を考える」でも感じましたが、今回も同じく、当事者となられた方の勇気と行動力、それに寄り添い結果を出された弁護士の熱く強い思いに胸を打たれました。自分に置き換え、果たしてここまで頑張れるかと考えました。また弁護士に相談するまでに辿り着かない不安な思いを抱えている人がどれほどいるのかと思うと、それにも心が痛みます。

今回の事例の方々は、現在、希望を持って働いておられます。働く意思のある一人ひとりが力を十分に発揮できる社会になることを願います。

弁護士とは、助けを求める人の足元を照らし、行く先を示す光となることを実感し、相談に来られる方々に寄り添う弁護士を支えられる事務局でありたい、と気持ちを新たにした人権セミナーでした。

宗像オフィス事務局S


~NPO法人九州アドボカシーセンターとは~
人権課題に取り組む弁護士を志す学生を支援するため、法科大学院発足と同時に設立されたNPO法人です。九州アドボカシーセンター主催の弁護士の魅力セミナーは、そのような弁護士、学生向けではありますが、一般向けにも興味深い話題のセミナーを定期的に開催しています。

昨今は、感染拡大防止の観点から、ZOOMでも参加できるようになりましたので、興味のあるセミナーを見つけたら、是非お気軽にご参加ください(参加費不要です)。

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『弁護士の魅力セミナー』に参加して

NPO法人九州アドボカシーセンターが定期的に開催している『弁護士の魅力セミナー』にZOOM参加しました。

今回は『韓国「慰安婦」判決 と主権免除を考える』というテーマで、関釜裁判で原告側の代理人となられた山本晴太弁護士と、長年にわたってその裁判の支援をされてきた花房俊雄さん、恵美子さんご夫妻より、「慰安婦」訴訟に対する日本の裁判所の判断や日本政府の対応、今年(2021年)示された韓国「慰安婦」訴訟の2判決についてのお話を聞かせていただきました。

関釜裁判とは、第二次世界大戦中に「従軍慰安婦」や「女子勤労挺身隊員」として強制的に働かされたとして、日本政府に公式の謝罪と総額5億6400万円の損害賠償を求めて、1992年に山口地裁下関支部に提訴された裁判で、原告は韓国人の女性10人です(下「関」支部に「釜」山の女性が訴えを起こした。)。山本弁護士はこの裁判の弁護団として、花房さんご夫妻は支援の会の中心メンバーとして活動されました。その後1998年に出た一審判決では「従軍慰安婦制度は、憲法に定める基本的人権の侵害である」「国は被害回復のための立法義務を怠った」として元従軍慰安婦3人に一人あたり30万円の慰謝料を支払うように命じました(公式謝罪と「女子勤労挺身隊員」への損害賠償の義務は否定)。当時、元従軍慰安婦の方たちが起こした裁判は関釜裁判を含め7件あり、その中で最も早く判決が出たということでも、その他の裁判へ与える影響などが注目されました。

花房さんご夫妻からは、関釜裁判の原告である女性たちの生い立ちや、慰安所に入れられてしまった経緯、その後の過酷な状況についてお話がありました。また、「慰安婦」とは別に「女子勤労挺身隊」という組織に入れられた当時小学校6年生くらいの少女たちの話もありました。終戦直後にアメリカ軍が撮影したという「女子勤労挺身隊」の写真を見せていただきましたが、まるで小学校での集合写真かのように写る幼い少女たちばかりでした。その少女たちが、食事もわずかしかもらえない空腹の苦しみの中、長時間危険な労働に動員させられていたと思うと胸が苦しくなりました。
また関釜裁判を通しては、苦しみをひた隠しにして生きてきた原告たちが、裁判が進むにつれ徐々に大きな声で笑ったり泣いたりできるようになり、自身を解放し自尊感情を高め、最終的には裁判の方針も自分たちで決めていくことができるようになったという経過を聞き、この裁判を起こすことにどれほどの勇気が必要で、さらにご苦労があっただろうかと思いました。

未だ解決しないこの問題について、ニュースなどでは取り上げられているところを何度も見たことがありますが、実際に行われている裁判という側面から、この問題についてあらためて考えることができました。

~NPO法人九州アドボカシーセンターとは~
人権課題に取り組む弁護士を志す学生を支援するため、法科大学院発足と同時に設立されたNPO法人です。九州アドボカシーセンター主催の弁護士の魅力セミナーは、そのような弁護士、学生向けではありますが、一般向けにも興味深い話題のセミナーを定期的に開催しています。
昨今は、感染拡大防止の観点から、ZOOMでも参加できるようになりましたので、興味のあるセミナーを見つけたら、是非お気軽にご参加ください(参加費不要です)。

本部オフィス(福岡市東区)事務局K

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裁判の中でのジェンダーを考える~弁護士から見た性暴力を巡る裁判の今~

4月30日、福岡市科学館ホールにおいてNPO法人九州アドボカシーセンター主催の弁護士の魅力セミナーが開催されました。

今回のテーマは「裁判の中でのジェンダーを考える」。
講師は女性の権利を守ることをポリシーに活動されている弁護士法人女性協同法律事務所の松浦恭子先生でした。

セクシャルハラスメントや性暴力被害の事件では、法律家のジェンダー観が問われる場面が出てくること、性虐待を受けた被害者はどのように訴え、最後にどんな言葉を残したか、法改正の動きや外国の法制度はどうなっているのか等、「小さいが確かな声を社会に届ける」法律家の役割について、実際の裁判事例をもとにご講演頂きました。

2時間ほどのお話でしたが、どのエピソードもジェンダーに関わる難しい問題に触れられており、様々な困難に直面されるなか、それをどのように解決に導かれてきたか、興味深く、胸を打たれる話ばかりでした。松浦先生の温かく優しい話し方にもお人柄を感じ、依頼者に寄り添ってこられたそのご活動について、もっとお聞きしたいと思うほど、あっという間の時間でした。

NPO法人九州アドボカシーセンターは、人権課題に取り組む弁護士を志す学生を支援するため、法科大学院発足と同時に設立されたNPO法人です。九州アドボカシーセンター主催の弁護士の魅力セミナーは、そのような弁護士、学生向けではありますが、一般向けにも興味深い話題のセミナーを定期的に開催しています。
昨今は、感染拡大防止の観点から、ZOOMでも参加できるようになりましたので、興味のあるセミナーを見つけたら、是非お気軽にご参加ください(参加費・事前申し込み不要です)。

セミナー情報はこちらから⇓⇓⇓
NPO法人九州アドボカシーセンター

福岡市東区 本部事務局S

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格差社会、弁護士はどう立ち向かう

2/12、福岡市科学館ホールにおいて開催された九州アドボカシーセンター主催のセミナーを、オンライン配信(Zoom)により拝聴しました。

同センターが立ち上げられた2004年来、協力事務所の一職員として関わってきましたが、勤務地等の事情によりこの数年は関わることが少なくなっていました。

昨春以降の新型コロナウィルス拡大により、一時は「開催する」「集まる」ことが困難となっていましたが、Zoom視聴も導入されたため、会場に足を運ばずとも参加可能となり、前回セミナー(10月)に続いてのリモート参加です。

同センターは、福岡市(当初所管は福岡県)の認証を受けている特定非営利活動法人(NPO)で、創設以来、福岡県内に拠点をおき、九州各地の法律事務所、弁護士の協力を得ながら、各地、各分野において人権侵害を是正し人権擁護活動を進めている市民団体等と交流を促進する活動を行っています。

今回の講師は、弁護士登録以来、「労働者代理人」として労働事件の一線で奮闘されている井下顕、星野圭の両弁護士(いずれも福岡県弁護士会所属)。

「正規労働者と非正規労働者の格差を考える~わが国における同一労働同一賃金原則」をテーマに、最新判決の傾向や、昨年勝ち取られた判決の紹介等がなされました。

労働裁判は弁護士だけでは勝ち取れるものでなく、(正規、非正規に関係なく)職場同僚をはじめ周囲の支援があってこそです。法廷内だけでなく法廷外での連帯・共闘が不可欠と言えます。

今、コロナの影響により裁判によっては口頭弁論(裁判所の法廷で公開により開催)を開かずに、電話またはウェブにより裁判が進められています。コロナの影響を受ける前からIT化が進められていたところではありますが、弁護士にとっては裁判所に足を運ばずとも手続を進められるという利点がある一方で、労働事件や薬害・公害訴訟、環境・住民訴訟など多くの労働者・市民の支援を受けて訴訟を進めてきた側としては十分注視しておく必要があります。

正規・非正規労働者の格差は、賃金格差、相対的貧困、男女間格差の主な原因と言われています。日本の相対的貧困率は先進国の中でも極めて高いとも言われています。

個別の労働事件に取り組みつつ、講演最後に井下弁護士が「世の中自体を変えていく契機」と締めくくられているように、国の施策や企業の経営方針を改めさせるといった「世直し」をする弁護士が、今、求められているかもしれません。

同センターでは、今回のセミナーのように、各種人権擁護活動に従事する人たちを系統的に養成・援助するために、法科大学院生や市民ボランティア等に対する定期的な研修会等も開催しています。近年開催のセミナー内容については、本ホームページ内にも掲載しておりますので参照ください。

また、養成活動の一環として、現在、法律事務所エクスターンをお受けしています。本年度(前期)実施期間は本年2/1~3/26ですので(最終申込3/5)、興味をお持ちの方、お知り合いの学生さんがおられましたら同センター事務局(弁護士法人奔流内・電話092-642-8525)まで御連絡ください。

これまでの同センター主催の講座やイベント等を受講・体験された数多くの学生さんたちが、現在、弁護士登録後、九州各県で活躍されています。

粕屋オフィス事務局

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がんばらないで、にげてください

11月6日、福岡労働局が主催する過労死等防止対策推進シンポジウムに参加しました。私自身、受任事件として過労死に関する案件を受けたことはありませんが、労働災害案件を抱えていることもありますし、また、過労死等の問題は重大な社会問題でありますので、関心を持たざるを得ないところです。なお、過労死「等」には過労自殺が含まれます。

当日は、長年、過労死遺族の取材に尽力されてきた記者の方による基調講演と、実際に過労自殺によって家族を亡くされた方の講演、福岡過労死等を考える家族の会からのご報告という構成でした。

基調講演をいただいた記者の方からは、雇用労働問題を担当されてきたそのご経験から、数々の過労死等の案件をご紹介くださいました。労働者の過労死等の原因として、企業において、適正な労務管理を行う意識不足の問題があったり、中には長時間労働(長時間残業)の実態を隠蔽しようとした企業もあったりなど様々でした。2014年に過労死防止法が施行され、近年でも働き方改革が謳われている世の中において、まだまだ労働者の健康に配慮した組織としての体制は社会に浸透していない印象を受けました。

また、その記者の方は、アフターコロナの情勢における、労働者の働き方の問題点にも言及されました。日本労働組合総連合会の調査によれば、新型コロナウィルスの拡大により、テレワークを導入している企業が増加している中、「公私の区別がつきにくくなった」「長時間労働になった」という申告がしばしば見られるようになったとのことです。すなわち、テレワークにより、自宅など個人の私的空間で仕事を行うようになった結果、自律的に働くことができるようになった反面、一歩仕事のやり方を間違えてしまうと私的な時間までも仕事に費やしてしまう可能性があるようです。テレワーク中の労働者の労務管理をどのように行うべきなのか、企業は新しい難題に直面しています。

シンポジウムでは、お子さんを過労自殺によって亡くされた方のお話をうかがうこともできました。その亡くなった方は、社会人となって間もない若者で、入社してから約10か月後の過労自殺であったそうです。その方は責任感が強く、人一倍努力されているような方で、非常に心痛ましく感じられます。お話をうかがった方が絞り出した、「がんばらないで、にげてください」の言葉が強く印象に残っています。

多数の方々が出席しており、過労死等の問題は、少しずつではありますが社会の問題意識として取り上げられるようになってきたように思います。しかし、それでも、この問題が改善するまでには、まだまだ時間がかかるようにも思います。これ以上一人でも過労死等の被害者を出さないために何をすべきであるのか、考えるきっかけとなるシンポジウムでした。

弁護士 北中 茂(宗像オフィス)

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就職して3ヶ月

当法人の事務局として今年の3月から勤務を開始し、もうすぐ3ヶ月になります。まだまだ研修中の身であり、至らない点も多々あるのですが、業務には少し慣れてきました。

そんな中、世界規模で新型コロナウィルスが流行し、この3ヶ月で社会が大きく変わりました。当法人でも感染拡大防止のため、職員の交代勤務や会議をテレビ会議に変更するなど様々な措置がとられています。

現在私は交代勤務による在宅期間中に、法律制度や具体的な事務処理を理解するため、法律事務のテキストや関連書籍を読み込む等の勉強を行っています。私自身、初めての法律事務の業務に加え、社会の大きな変化に最初は戸惑うばかりでしたが、現在は、通常業務に戻った際に少しでも多くの業務に対応出来るように、今自分に何ができるかを考え、それをコツコツと実践していきたいと考えています。

依頼者の皆様のご依頼に迅速かつ丁寧に対応出来るよう、精進していきたいと思いますので今後ともよろしくお願いいたします。

 

本部オフィス(福岡市東区) 事務局I

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様々な角度から多重債務問題に切り込む~多重債務相談に関する全国協議会から~連載③運動編

(本ブログ3/25,4/1付けのつづきです)
本ブログでは,協議会の中から市民の皆さんにも関連ある一部をご紹介しています。
今回は,生活困窮の方や女性への支援など,運動編(最終回)です。

生活困窮者の自立支援事業における弁護士会の役割
次に,日弁連や弁護士会における生活困窮者に対する支援制度について報告されました。生活の困窮は,労働問題・家庭問題・自殺問題などの社会的な問題に関連するため,注意深い対応が必要とされています。
生活困窮者による相談の特徴として,法的・法的以外の問題を含めて複合的な悩みを抱えていることが多いことが指摘されます。すなわち,本人では具体的に何に困っているのか把握することができていないのですが,とにかくいろいろなことで困っているため,これまでどこへ相談に行けばよいかも分からない方が多数存在していました。そのため,法的な問題を解決するのみでは生活を再建することができない場合が多く,行政その他の機関との連携が不可欠であると言えます。
そこで,日弁連は,毎年貧困問題に関する協議会を開催して,生活困窮者の生活再建に係る問題に取り組み,各弁護士会に対して自治体との連携を呼び掛けています。その上で,各地の弁護士会は各地の実情に応じた取り組みを行っています。例えば,法テラスの司法ソーシャルワークと連携して福祉事務所で法律相談を実施したり,自治体からの要請に応えて支援調整会議に弁護士が参加したりする取り組みが行われています。


多重債務問題を抱える女性への支援
次に,多重債務問題について,女性への支援に重点をおいた司法とソーシャルワークについて報告されました。
多重債務に陥ってしまう原因は様々ですが,その中でも法的な観点からの支援だけでなく福祉的な観点からの支援も必要とする類型も様々存在します。例えば,DVや虐待被害の一環として本人名義で借入れを行ってしまったり,特に診断を受けてはいないが軽度の知的障害や学習障害を有し金銭管理が不得手であったりする場合があります。
こういった方についての多重債務問題については,人生のある時点における債務の整理だけでは,多重債務に陥った根本的な問題を解決することにはなりません。福祉的な観点を持ちながらそう言った方々に向き合って,司法のスタンスと福祉のスタンスの違いを理解することが必要となってきます。債務整理の相談を契機に福祉的な介入につなげることはDVや虐待の予防にもなり得ることを共通認識として広げるべきとの意見が出されました。
また,地域によっては,風俗店で働く女性の法律相談を実施して,その就労支援,障害者手帳の取得,生活保護の案内,摂食障害等の対応に強いクリニックや自助グループの紹介に取り込んでいる地域も存在します。名古屋の風テラスが名古屋市の仕事・暮らし自立サポートセンターと連携して,そのような活動を行っています。

最後に
このように,今回の協議会においても,近時の法改正・社会情勢に注目しながら,様々な角度から多重債務問題に切り込み,それをどのように解決することが相談者の抱える問題を解消することになるのかについて充実した意見交換が行われました。このような全国的な協議会に参加すると,全国各地の弁護士一人一人が同じ信念をもって知恵を絞りながら共通の課題に取り組んでいることが感じられます。さらなる議論を重ねていき,改めて,多重債務問題の根絶につながるよう日々奮闘していきたいとの思いを強くしたものでありました。
(おわり)

弁護士 北中 茂(宗像オフィス)

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様々な角度から多重債務問題に切り込む~多重債務相談に関する全国協議会から~連載②社会編

(本ブログ3/25付けのつづきです)
本ブログでは,協議会の中から市民の皆さんにも関連ある一部をご紹介しています。
今回は,ヤミ金やカジノ等,社会問題についてです。

ヤミ金から借入れをした人等の口座凍結問題
次に,ヤミ金からの借入れに利用された口座や振り込め詐欺に利用された口座が凍結されることに関する問題点について報告されました。そういった口座は凍結されてしまうことがあるのですが,警察庁から全国銀行協会に提供されている凍結口座名義人リストに登載されると,実際に犯罪に利用された口座だけでなく,その人のもつ全ての口座が金融機関によって凍結されてしまうことがあります。しかし,かかる金融機関の処置は誤解に基づく場合がありますので,そのような人からの相談を受けた際には注意して対応する必要があります。
犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律によると,金融機関が口座凍結の処置を採るのは,「当該金融機関の預金口座等について」犯罪利用預金口座等である疑いがあると認められる場合とされています(同法3条1項)。すなわち,口座凍結されることが法律上定められているのは,犯罪に利用された「当該」口座だけであって,その人の全ての口座が凍結されるわけではありませんし,その人が新規の口座をつくることは妨げられないこととなります。
しかし,金融機関の担当者の中には,犯罪に利用された口座をもっている人の一切の口座利用を認めないという不正確な理解に基づく処置をされることがあります。このような場合には,代理人弁護士としては,口座をもつことができないといった重大な不利益を回避するべく,上記の法律上の根拠を示したうえで,犯罪に利用されたわけではない口座凍結の解除や新規口座の開設を金融機関に対して求めていく必要があります。

カジノ問題の現状と課題
次に,2016年12月に統合型リゾート(IR)整備推進法案,通称「カジノ法案」が成立したことに関して,カジノ問題の現状について報告されました。
同法に基づくカジノには,民設・民営であること,ショッピングモールやレストランなどを一区画に含んだ複合観光集客施設であることといった特徴が挙げられます。カジノを設立することで,莫大な経済効果,雇用機会の増加といったメリットが存在します。
他方で,カジノを設立することによる様々な問題点も指摘されています。例えば,青少年の健全な育成の妨げとなること,カジノ利用者はヤミ金業者の標的となり得ること,カジノ利用者のギャンブル依存を引き起こしかねないことなどといったデメリットが存在します。そのような指摘もあるため,自治体によるカジノ誘致に対する反対運動が展開されています。各地の自治体には,このようなデメリットが社会問題・消費者問題になりかねないことを認識したうえで,カジノ誘致に取り組むことが求められています。
(次回へつづく)

 弁護士 北中 茂(宗像オフィス)

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様々な角度から多重債務問題に切り込む~多重債務相談に関する全国協議会から~連載①手続編

本年1月,東京弁護士会館にて「多重債務相談に関する全国協議会」が開催され,私は,福岡県弁護士会の生存権擁護・支援対策本部の委員としての立場から出席しました。
全国の弁護士会からも多数の出席があり,多重債務相談に関連する7つの協議事項について報告・意見交換が行われました。
本ブログでは,協議会の中から市民の皆さんにも関連ある一部をご紹介します。
今回は、破産または行政手続上の諸課題についてです。

同時廃止手続と破産管財手続の振り分け基準
破産申立後は,手続上,同時廃止か,管財手続(異時廃止)が採られます。
協議会では,同時廃止手続が採られるのか,破産管財手続が採られるのか,その全国的な振り分け基準について報告されました。
従前は,各地ごとに振り分け基準が異なっていましたが,全国の裁判所で均一な司法サービスが提供されるべきとの要請から振り分け基準の統一化が進められてきました。
現在はほとんど全ての裁判所において振り分け基準が統一されていますが,その運用については各地で多少の差異はあるようです。例えば,統一された基準によれば,申立て直前の財産の現金化(定期預金の解約,生命保険の解約等)はその金額が過度に高額でなければ考慮せず現金として取り扱うこととされていますが,どの程度の金額をもって「過度」となるのかについては各地で温度差があるようです。振り分け基準の統一化が図られる中,申立代理人は,各地での基準の運用の仕方に配慮しながら同時廃止手続が採られるように申立て行っている状況です。
さらに,近時の裁判手続のIT化の流れの中で,破産手続開始申立手続においてもオンライン申立ての方法に適しているのではないかとの意見も出されていました。これが実現すれば申立書式を含めた運用の完全統一が図られる可能性も十分にあるのではないでしょうか。

生活保護法63条返還債権の財団債権・非免責債権化
2018年生活保護法改正に関し,いわゆる63条返還金を国税徴収の例による債権とし(改正法77条の2),保護費との相殺を可能にした(改正法78条の2)ことについて,以下の各場面に応じて被保護者の代理人としてどのように対応すべきか報告されました。
例えば,保護の実施機関の責めに帰すべき事由によって保護金品を交付すべきでないにもかかわらず,その交付が行われたという過誤払いがあった場合(生活保護法施行規則22条の3)には,被保護者が返還しなければならないことには変わりはありませんが,被保護者の代理人としては,保護の実施機関の職員に対する損害賠償請求権の成否やこれを前提とした当該職員による過支給費用の全部又は一部の負担の可否について検討しておく必要があります(東京地裁平成29年2月1日判決参照)。
また,63条返還債権を根拠に被保護者の財産が差し押さえられることがある場合には,法律上,保護受給権だけでなく,既に給与を受けた保護金品も差押えが禁止されています(生活保護法58条)ので,被保護者の代理人としては,その差押えの違法を主張する必要があります。
また,保護の実施機関からの徴収(滞納処分の執行)によって被保護者の生活を著しく困窮させるおそれがある場合には,滞納処分の執行を停止することができるとされています(国税徴収法153条1項2号)。そして,国税徴収法の基本通達によると,「生活を著しく窮迫させるおそれがあるとき」とは,滞納者の財産につき滞納処分の執行等をすることにより、滞納者が生活保護法の適用を受けなければ生活を維持できない程度の状態(国税徴収法76条1項4号に規定する金額で営まれる生活の程度)になるおそれのある場合をいうとされていますので,被保護者の代理人としては,その滞納処分の停止を求めることを検討する必要があります。なお,同じく国税徴収法の基本通達によると,滞納処分の停止がなされた場合,その処分が取り消されないで,滞納処分の停止をした日の翌日から起算して3年を経過したときは,その滞納処分の停止をした国税を納付する義務は当然に消滅する(国税徴収法第153条第4項)とされていることにも留意しておく必要があります。
また,保護の実施機関によって保護費との相殺が行われることがありますが,それは,一定の場合に制限されていますので,被保護者の代理人としては,そのような相殺が法律上許されるものであるのかどうか検討する必要があります。具体的には,生活保護利用者からの徴収金の納入に充てる旨の申し出があった場合や,生活保護利用者の生活の維持に支障がないと認められる場合でなければ,保護費との相殺は認められないことに留意しなければなりません。
このように,63条返還債権に関連する各場面に応じて,被保護者の代理人として採るべき手段について報告がなされ,今後,具体的な代理人活動においてイメージを持つことができました。
 (次回へつづく)

 弁護士 北中 茂(宗像オフィス)

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「どこまできてる?日本の監視社会」~1/25九州アドボカシーセミナー開催のご報告

1月25日、NPO法人九州アドボカシーセンターの企画で、武藤赳明弁護士(日弁連・情報問題対策委員会副委員長、姪浜法律事務所)を講師にお招きし、「どこまできてる?日本の監視社会」というタイトルでお話を伺いました。

武藤弁護士はこれまで住基ネット訴訟やグーグルストリートビュー違憲訴訟において弁護団の中心としてプライバシー保護問題に取り組まれるとともに、日本弁護士連合会の委員の一員として継続的に監視カメラや顔認証システムの問題にも取り組まれ、ドイツなど諸外国へも調査に出向かれているなど、その分野の第一人者として新聞などのメディアの取材を受けられています。
まず、EUや諸外国では、プライバシー保護の問題として現在顔認証システムの限界が議論されているところ、日本ではようやくターゲティング広告が注目されるようになり、これからマイナンバーカードが推進されているような段階で、日本の問題意識や諸制度は諸外国よりもかなり遅れているという現状を紹介され、それは私たち市民がIT問題をよく理解していないことが原因と指摘されました。
情報流出という点に関しては、情報管理の不備で世界各地の監視カメラの映像がリアルタイムにインターネット上で閲覧できるようになってる外国のサイトをご紹介いただき(もちろん日本の監視カメラ映像も複数ありました)、適切な情報管理ができていないと情報が世界中に流出してしまう怖さを実感することができました。
そのような中、警察の捜査では顔認証システムが徐々に使用されるようになっていて、昨年10月東京の渋谷センター街で発生した軽トラック横転事件の被疑者特定には顔認証の手法が使われるなど、社会の監視化はすすんでいるとのことでした。
政府がすすめるマイナンバー制度についても、世界では、顔認証が主流になっているのに対して時代遅れで、無駄な事業ではないか、よく分からないまま進められているのではないかとも批判されていました。
最近政府が「プライバシー」や「個人情報」を盾に国民に重要な情報を公開しない姿勢については、民主主義国家はまずは情報の透明性を確保するのが原則であると言及されました。
EUではプライバシー保護に手厚く、原則として生体情報の収集、プロファイリング規制を禁止していることなどを紹介され、その根底には過去の国家的過ちに対する反省があり基本的人権を徹底的に擁護する立場がとられているとのことでした。

私自身もITに疎く、その仕組みが分からないままcookieやクラウドなどを使っていましたし、お話を伺う前は「監視社会」という言葉もピンときていませんでした。まさに武藤弁護士がおっしゃる「わからないから議論もできない」、思考停止状態に陥っていたことを反省しました。
武藤弁護士のお話を聞いて技術の発展とともに新たな監視化がすすんでいるということがよくわかり、民主主義国家を守るために情報流出、プライバシーの問題について学び、真剣に考え、便利さの反面社会全体としてどこまでが許容範囲で快適に過ごせるかを議論しないといけないとの思いを強くしました。

弁護士 小出真実(宗像オフィス)

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