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玄海原発3・4号機 9/25福岡高裁即時抗告不当決定についての声明~原発なくそう!九州玄海訴訟原告団・弁護団

本日、福岡高等裁判所第5民事部(山之内紀行裁判長)は、九州電力玄海原子力発電所3・4号機の運転差し止め仮処分申立事件の即時抗告審において、棄却決定を行った。
本決定では、8年半前から今なお続くフクシマの被害についての具体的な言及が全く行われていない。3.11事故は、原発安全神話が幻想にすぎなかったことを我々に直視させ、ひとたび原発事故が発生すると、数世代にわたって築かれてきた市民の平穏な日常生活が一瞬にして根こそぎ奪われるという冷酷な事実を示した。3.11事故後に原発差止め裁判を担当する裁判所には、フクシマの被害をどのように受け止め、3.11事故を繰り返さないために課せられた司法の役割をフクシマの被害者をはじめとする国民に対して示す責任がある。このような責任を放棄し、フクシマの被害に全く言及しない現実無視の姿勢こそが、本決定の特徴だといえる。
我々は、仮処分の申立て段階から、様々な事実に基づき玄海原発の危険性を主張してきた。
ところが、本決定で争点となった基準地震動の策定方法の問題、火山噴火の影響評価、水素爆発及び水蒸気爆発に関する決定内容は、九州電力の主張や原子力規制委員会が作成した「実用発電用原子炉に係る新規制基準の考え方について」を、事実上、書き写したものに過ぎない。このような判断は、原子力規制委員会の判断にお墨付きを与え、新たな原発安全神話を作り出すことになりかねず、失望の念を禁じえない。また、避難計画に実効性がないために過酷事故発生時に周辺住民の安全確保が不可能であることや、特定重大事故等対処施設の完成が大幅に遅れる見込みでテロ攻撃に対して極めて脆弱な状態にあることといった玄海原発の危険性が顕著に表れている2つの争点について、本決定は、我々の主張に対して正面から向き合おうとせずに、不都合な真実から目を背けている。
裁判所は、人権擁護の最後の砦であるから、原子力規制委員会をはじめとする他の行政機関とは独立して独自に危険性を判断する責任を負っている。ところが、本決定は、我々が主張した具体的危険性を真摯に検討した形跡がうかがえず、玄海原発の危険性を示す事実を無視した行政追従の判断だと評価せざるを得ない。
本決定は、裁判所の責任を放棄し、3.11事故前の司法判断かと見紛うばかりの判断であり、断じて受け入れることはできない。
フクシマの悲劇を二度と繰り返さないために、我々は、玄海原発3・4号機が廃炉となる日まで、今後も闘い続けていく。

2019年9月25日

原発なくそう!九州玄海訴訟原告団・弁護団

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