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粕屋オフィス相談室より(手続のご紹介)~債務整理編その③

相談内容・・・勤続15年のサラリーマンで、毎月の手取りは28万円ほどです。

数年前に自宅を購入し、住宅ローンは毎月8万円支払っています。

それまで住んでいた借家の家賃も8万円だったので、住宅ローンも余裕で支払えるだろうと思っていたんですが、給料が減ってしまい、住宅ローンの支払が苦しくなり、生活費や住宅ローンの返済のために、借金をするようになりました。お金を借りることへの抵抗感がなくなってしまったこともあり、取引先や同僚と飲みに行くことも増え、住宅ローンの返済に加え、借金の返済額も大きくなりました。こんな生活を3年ほど続けていたのですが、ついにどこからもお金を借りることができなくなり、借金は総額700万円まで膨れ上がってしまいました。妻と子ども2人がいるのですが、妻にはせっかく買ったマイホームを手放したくない、子どもたちも転校させたくないと言われています…。

マイホームに住み続けながら、借金を整理することはできるでしょうか。

 

今回は、個人再生手続についてお話いたします。

個人再生は、裁判所へ申し立てをして、裁判所の決定にもとづき債務額を原則5分の1に減額(※最低100万円)し、これを3年(例外的に最長5年まで伸長可)で分割弁済していくという手続です(厳密には、5分の1に減額した額と、資産総額を比べて大きい金額が返済総額となります)。

破産手続(後日ご紹介)では、自宅を手放すこととなったり、事業を継続することが困難になる、といった難点がありますが、個人再生では、自宅を手放すことなく、また、事業も継続しながら、手続を進めることも可能である点が、個人再生の特長です。

破産申立は「清算型」の手続、再生申立は文字どおり、「再生」「再建」するための手続と、一般的に区分けされます。また、債権者と個別に弁済交渉する「任意整理」と異なるのは、再生申立は裁判所に申し立てて、裁判所の決定によって「強制」されるというところです。

これだけ見ると、裁判所が「強制的」に借金を減額してくれるなら、任意整理よりお得な手続だと思えますが、裁判所が強制的に債務額を減額する手続であることから、一定の条件を満たさないと認められない手続となります。

主な条件は、①住宅ローン等を除く負債総額が5000万円以下であること、②将来において継続的または反復して収入を得る見込みがあること、等が必要となり、特に②の条件が、個人再生の手続をとるうえで最も重要となります。

典型的には、長年、正社員として働いていて、毎月安定して給与をもらっている場合ですが、これに限られるというものではありません。

収入に波のある自営業の方やパート、アルバイト勤務をされている方も、継続的に反復して収入を得る見込みがあると言えれば、この手続を利用することが可能となります。(つづきは次号にてご紹介します)

弁護士 松嶋 健一(粕屋オフィス)

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