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九州北部豪雨復旧工事に関する贈収賄事件に関し朝倉市と協議を行いました

昨年、朝倉市職員が、平成29年7月九州北部豪雨にかかる復旧工事の発注業務において、業者から現金100万円等を受け取っていたことが発覚し、有罪判決が下されました。

朝倉市は今年1月下旬に調査報告書を公表しました。

当法人が支援する「九州北部豪雨朝倉被災者を支える会」は、この報告書を受けて、令和3年2月4日に朝倉市副市長らと協議を行いました。

この協議の中で、朝倉市は今回発覚した贈収賄事件のきっかけになった復旧工事の発注についてしか調査をしていないことが明らかとなりました。

確かに、刑事事件として取り上げられたのは、当該復旧工事1件についてだけです。ただ、行政としては、本当にこの1件だけだったのか、そのほかの工事にも関連して贈収賄が行われていないかを検証すべきでしょう。少なくとも、このような疑念を持つのが一般市民の感覚だと思います。

朝倉市は、職員らに対して早期に公務員としての自覚を再確認させるために、そのほか贈収賄をした職員が関わった他の工事に関しては調査を行わなかったと回答しつつも、今後さらなる調査は予定していないという苦しい回答に終始しました。

また、朝倉市は、贈収賄のきっかけになった工事においても、その発注価格自体には問題がない、適正な価格であった、と結論づけていますが、では、なぜ贈賄をした業者は100万円を渡したのでしょうか。それによってどのような利益を受けたというのでしょうか。発注直前に発注価格が増額されたにも関わらず。

今回の贈収賄は「特命随意契約」という形で発注された工事にて行われています。この「特命随意契約」は、通常競争入札によって業者を選定するのですが、この契約は行政が業者を指名して工事を発注する契約であって、贈収賄の温床になりうる方法です。

朝倉市は、早期に復旧工事を行うことなどを目的に、特命随意契約という方法を選択したようですが、今回の贈収賄は未だ生活再建ができていない被災者の方々を裏切る行為です。復旧のスピードは大事ですが、そのスピードは適切な工事発注であることが大前提であり、被災者を尻目に一部の人間が不当な利益を受けるなど言語道断です。

今後、さらに多くの復旧工事が予定されています。支える会としては今後も復旧工事の在り方について注視していきます。

弁護士 坂口裕亮(朝倉オフィス)

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