先日、NPO法人九州アドボカシーセンターによる弁護士の魅力セミナーの企画として、弁護士や大学生などを中心に福岡市東区和白にある福岡朝鮮初等学校を訪問してきました。
現在、2010年に始まった高等学校等就学支援制度(いわゆる高校無償化)は、2020年にはその支援の範囲を私立高校にも広げ、さらに2025年4月からは所得制限も撤廃、来年4月からは私立高校に対する支援額の引き上げが予定されているなど、教育支援金の対象や内容は拡充されています。
ところが、朝鮮学校は、学校教育法第1条の定める「学校」(いわゆる1条校)ではないため教育無償化の対象ではなく、都道府県が認可する「各種学校」(同法83条)として位置づけられています。また、上記高校無償化についても、2010年の制度開始当初から、政治的な理由でその支援の対象から除外されたまま、今回の支援拡充にあたっても特段の議論すらされていないように思います。
では、教育現場の実態としてはどうでしょうか?
今回訪問させていただいた福岡朝鮮初等学校では、生徒たちの明るく元気な様子も、授業内容も、教科書も、日本の「学校」と変わりませんでした。違いは、授業が朝鮮語(ハングル)で進められ、教科書もハングルで記載されていたことです。
ただ、生徒たちは、器用にハングルと日本語と双方で話し、文字も両方使って記述していました。
朝鮮学校に通う生徒も先生も、日本で暮らす同じ人々です。
そして、人が、自分のルーツである民族の言葉で、教育を受け学習することは、当たり前に尊重すべきことだと感じました。それが、「学校」ではないとして、補助金や教育支援金の対象から外すという形で異なる扱いを受けることは、生徒たちの教育を受ける権利を脅かす重大な問題であり、ぜひとも改善していかなければならない問題であると改めて思いました。
弁護士 池永真由美(本部オフィス)
*朝鮮学校を取り巻く状況など、さらに詳細については、7/11にアクロス福岡にてセミナーも予定されていますので、是非ご参加ください(本ホームページのお知らせ欄参照)。