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東電刑事裁判を振り返る

2025年11月29日、福岡市市民福祉プラザで開催された「福岡報告会 福島原発事故・刑事裁判報告の集い」において、私が行った報告について、忘れないうちに文章にしておく。相当な予備知識がないと理解できない部分もあるかもしれないが、悪しからず。

 

~はじめに

同じ弁護団の北村賢二郎弁護士は、この裁判の報告会で、度々「私は決して負けない。勝つか学ぶかだ(I never lose. Either I win or learn.)」という、ネルソン・マンデラの有名な言葉を紹介している。それを見聞きする度に、「じゃあ、手前は何を学んだんだ?」という問いが頭に浮かぶ。それは、勿論、私自身への問いにもなる。この歴史的な事故の歴史的な裁判を長い間間近で見てきて、私は何を学んだのだろうと。

私が、個人的に何を学んだのかを言葉にしても仕方がない。私が言葉にしておきたいのは、この裁判が終わったばかりの私たちにとっては当たり前だけれど、時が過ぎればもしかしたら忘れてしまうかもしれない、決して忘れてはならないはずのことだ。

 

論点1 検察庁はなぜ起訴しなかったのか

この被疑事件では、東京地検公安部を中心に、多くの検察官(検事)が捜査した。検察庁は、初めは起訴方針で捜査していたに違いない。それがいつ、不起訴方針に転換したのか。告訴団の第一次告訴が平成24年6月、東京地検の最初の不起訴処分が平成25年9月であったことからすると、平成25年3月頃には、不起訴方針になっていたことが推測される。これは、民主党政権が崩壊し、第2次安倍政権が始まってから、3か月後である。

検察庁による平成25年3月の起訴方針転換。これは上記の経緯に基づく想像ではない。また、出所不明の裏話を根拠にしているのでもない。以下のような、ある程度の客観的な根拠がある。

⑴ 人格が2つあるかのような供述調書

根拠の1つは、検察官(検事)が作成して、指定弁護士が証拠調べを申し立て採用された供述調書(甲B号証)のうち、重要なものは、平成25年3月までに作成されている一方で、弁護人が証拠調べを申し立て採用された供述調書(弁号証)の大半は、平成25年3月以降に作成されているということだ。甲B号証の中にも、平成25年3月以降に作成されたものも少しはあるが、それらは供述者の不合理な弁解を容認する記載が目立つものになっている。

特に印象的なのは、同じ供述者であっても、さも人格が2つあるかのように、正反対の立場からの供述がなされているかのような供述調書の対が幾つもあることだ。それらはことごとく、刑事訴追に積極方向に働く供述調書は平成25年3月以前に作成され、刑事訴追に消極方向(嫌疑不十分)に働く供述調書は平成25年3月以降に作成されているといってよい。

以下では、特に象徴的な4人の供述者をとり上げる。

① 上津原勉氏

上津原氏は、平成20年当時の東電・原子力部門の技術・広報担当(部長)であり、東電が事故調査報告書を作成するに当たっては、東電社員が行う作業のとりまとめをした、東電の幹部社員である。原子力発電所という、司法関係者にはとっつきにくい工学的、技術的な事項について、分かり易く説明する能力に長けた上津原氏は、検察の捜査でも重宝されたであろう。指定弁護士が申し立てた上津原氏の供述調書は訂正文書も合わせると24通、弁護人が申し立てた上津原氏の供述調書も10通ある。地裁で証人尋問のトップバッターにもなった。この裁判の陰の主役ともいえる人物である。

上津原氏は、1号機から3号機が事故を起こした原因が何なのか、事前にどのような措置を行っていれば今回の一連の事故を防ぐことができたのか、そしてどこをどのように水密化しておけば津波の海水による浸水を防ぐことができたのかについて、詳細かつ具体的に説明した供述調書(甲B号証)に署名押印しており、それらはいずれも平成25年3月までに作成されている。その中で、上津原氏は、防潮堤や防波堤は相当の期間と費用を要することから、現実的ではないとも述べていた。

一方で、上津原氏は、今回の一連の事故を防ぐためには防潮堤を設置する必要があったこと、HPCIと直流電源設備の接続等がなされていなければ1号機建屋爆発を防げなかったこと、高台に電源車等を用意しておくだけでは3,4号機の水素爆発を2号機の放射性物質大量放出を防げなかったこと、平成20年当時に試算していた津波に対する対策を3.11までに講じていた場合でも、今回の津波に応じた耐性はもたなかったと考えられること、浸水を前提とした津波対策を事故前に発想することはできなかったこと等を供述している。それらの供述調書(弁号証)は、いずれも平成25年3月以降に作成された。

あの事故は事前の対策で回避できたのか、防潮堤以外の対策は取り得たのか。裁判で最重要争点の1つとなった結果回避の問題について、上津原氏の供述調書は、訴追側・弁護側のどちらにとっても、使えるものでありかつ邪魔なものとなっている。しかし、それらの要素は、必ずしも混然一体となって存在しているわけではなく、平成25年3月という時点を境として、供述調書を仕分けることが容易にできるようになっている。

② 阿部勝征氏

東京大学名誉教授であり、津波マグニチュードの考案など、特に津波研究の分野において多大な功績のある地震学の権威である。

阿部氏は、「事業者の、事業者による、事業者のための」学会であるところの、土木学会原子力土木委員会津波評価部会に参加した地震研究者のリーダー格であり、東電の担当者と飲みに行く程事業者と親密でありながら、平成16年の津波評価部会では、長期評価の見解と東電の立場とで「1:0」という重みを回答した。原子力規制にも深く関わり、特に耐震バックチェックでワーキンググループの主査を務めていたことが、東電土木調査グループの「バックチェックに長期評価の見解を取り入れざるを得ない」という判断にも大きく影響した。

阿部氏の1通目の調書は、平成24年12月26日、宮木恭子検事が作成している。その中には、平成20年12月に東電担当者らと面談した際、事業者は長期評価の見解を前提とした対策をとるべきと考えていたが敢えて何も言わなかったこと、東北地方太平洋沖地震発生前の当時でも水密化や非常用電源設備の高台移設など様々な対策を講じることができたはずだと思っていること、東京電力が対策費用を出し惜しんだという思いがあり遺憾に思っていること等が書かれている。

2通目の調書は、平成25年4月18日、小玉大輔検事が作成した。その中には、長期評価の見解は非常に特異な評価で「そういう見方もあるのだな」と思いながら議論に参加していたこと、長期評価の見解はデータが乏しく精度が低いと考えていたこと、中央防災会議での発言は福島県沖海溝沿い等の津波地震の発生を考慮すべきと考えた上での発言ではないこと、東北地方太平洋沖地震のことは自身も含めて地震学の専門家も想定してなかったこと等が書かれている。

阿部勝征氏は、本来であればこの刑事裁判の法廷で証言するはずだったと思われるが、平成28年9月9日に亡くなった。ただ、亡くなった影響で、まったく黒塗りのない2通の供述調書を読むことができている。

上記2通の供述調書は、明確に矛盾していると言っても過言ではない程、内容が違い過ぎる。2通目の調書は、阿部氏が肺がんで東京大学医学部付属病院に入院中、同病院で作成されていることもあり、私はこの調書を初めて読んだ時、「検察庁、そこまでやるのか」と思った。

故人の名誉のために一応付言しておくと、周囲の評判等から察するに、阿部氏は、空気が読めて、TPOに応じた話ができる、日本人として普通以上に「いい人」だったのだろうと思う。ただ、1通目の調書と2通目の調書とで内容が大きく異なるのは、聞き手(作成者)が同じ東京地検の検事でありながら、その話して欲しいことが、時期によってまったく違っていたというだけと捉えるべきであろう。

③ 小野祐二氏

平成18年に保安院とJNESが開催した溢水勉強会では、福島第一原発で敷地を超える津波によって建屋内に海水が浸入し、全電源喪失による炉心損傷が想定されていた。溢水勉強会の保安院の中心人物が、小野祐二氏である。

小野氏の1通目の供述調書は、平成24年10月16日、やはり宮木恭子検事によって作成された。

この中には、平成18年1月の第1回溢水勉強会の冒頭、事業者に対して、「津波PSA確立まで待っていたら前に進みません。ですから、その結果を待たずに対策を打てるところから早急に対策を打ってもらいたい」等と要望を出したこと、平成18年5月の第3回溢水勉強会で、敷地を超える津波が来たら炉心溶融になると東電担当者が説明すると、JNESの蛯沢部長が「敷地を超える津波については、アクシデント・マネジメント対策として考えて、機器が水没しないようにしていかないといけないね」とコメントしたこと、平成18年6月の福島第一原発の現地調査ではサービス建屋の自動ドアには遮水措置はなく、ディーゼル発電機吸気ルーバーが敷地の低い位置にあるため、敷地を超える津波が来た場合にはそこから海水が入り込んでくることなどを確認したこと、小野班長は何度も「女川だって基準地震動を超えました、自分たちの知見だけでは分からないことがあるのです。自主的に対策を打っていかないとだめです」と主張したが事業者は動こうとしなかったこと、溢水勉強会の成果を踏まえて小野班長が川原修司室長に進言したことが、耐震バックチェックの一斉ヒアリングにおける口頭指示につながったこと、それを受けて事業者が平成19年4月に持ってきた検討結果は従前の主張の蒸し返しで、事業者の対応の遅さに腹が立ったこと、小野班長はとりわけ福島第一と東海第二は早急な対策を打つべきと考えていたこと等が記されている。

2通目は平成26年12月16日、吉田純平検事が作成している。この中では、溢水勉強会の時の津波の想定は相当大雑把だったこと、炉心損傷に至る危険性があることが確認されても保安院としては直ちに東京電力に対して直ちに何らかの対策を取るように要求しなかったこと、敷地を超える津波に向けた対策を取らせようと考えていたわけではなく、当時誰も10メートル以上に及ぶ巨大津波が襲来するとは思っていなかったこと、AM策を本格的に検討するのは津波PSAが確立してからの課題と思っており、外部溢水に関しては引き続き津波PSAの研究を見守ることとしたこと等が記載されている。

1通目の供述調書から感じられるのは、東電に津波対策を促しても何もしなかったことへの憤りであるが、2通目の供述調書からは、東電が津波対策をしなかったことをほぼ全面的に擁護しようという姿勢が感じられる。あたかも違う供述者の調書であるかのようだが、これも時期によって、供述調書作成者たる検察官の目的が違うからそうなっているものと解するのが合理的である。

なお、溢水勉強会については、東電社員の長澤和幸氏の供述調書についても、指定弁護士が申し立てたもの(甲B号証)と、弁護人が申し立てたもの(弁号証)がある。保安院から対策を促されても何もしなかったことが書かれている点は同じだが、長澤氏の平成24年12月に作成された供述調書(甲B号証)には対策をしなかったことに対する検察官の批判的な認識が、平成26年12月に作成された供述調書(弁号証)には対策をしなかったことに対する検察官の同調と擁護が、それぞれ込められているように感じられる。

④ 小林勝氏

平成21年6月から保安院の原子力安全審査課耐震安全審査室長を務めた小林勝氏の供述調書は、平成24年11月から12月に髙長伯検事が作成したものが3通と、平成26年11月以降に吉田純平検事が作成したものが3通取り調べられている。

平成24年11月から12月に作成された供述調書では、政府事故調からのヒアリングで、平成21年9月の東京電力のヒアリングに出席していないと述べたのは、責任逃れのための嘘だったこと、平成21年9月に東京電力から貞観地震津波を踏まえた津波対策についてはバックチェック最終報告とは切り離して検討したいとの説明を聞き、そんなことが実際にできるのだろうかと疑問に思ったけれども、異動からそれほど時間が経っておらず、勉強不足のため東京電力側を説得できる自信がなかったので何も言わなかったこと、平成23年2月の文科省との情報交換会で、同年4月に長期評価を改訂し、貞観地震についても触れる予定であることを説明され、事前に岡村委員からも情報提供があったにもかかわらずすっかり忘れていて、びっくりしたこと、小林氏は文科省からの帰路で名倉氏に東電を呼んで話を聞くよう指示し、名倉氏はその日の夕方には東京電力の担当者を保安院に呼んで打ち合わせをしたこと、平成23年3月3日に東京電力との打合せをした際には、東京電力が地震本部事務局に、貞観地震の波源モデルが確定していないことが読み取れるように長期評価の記載を工夫して欲しいと依頼したとの報告を受け、一電力事業者に過ぎない東京電力が長期評価の記載ぶりに注文をつけるのはいかがなものかと思い憤慨したこと等が記載されている。これらの供述調書からは、事業者の虜であった保安院の体たらくがよくわかるが、それでも東京電力に対し津波対策をさせようという姿勢は多少なりともあったことが感じ取れる。

一方、平成26年11月以降に作成された調書では、平成21年9月に貞観地震津波の想定津波波高の試算結果の報告を受けても、貞観地震については震源域が明らかでないなど未解明な部分が多かったこと、東京電力も堆積物調査やシミュレーション解析等の対策を進めていること等から、東京電力に対し今すぐ対策を取るようにとの指示をすることはまったく考えられなかったこと、東日本大震災の時点で、耐震バックチェック最終報告書が未提出であった原子力発電所は福島第一以外にも沢山あったこと、平成22年5月か6月か7月頃に野口審査課長に対して「安全委に諮った方がいいのではないですか」と尋ねた際も、安全委に諮って貞観地震津波など個別具体的な事項についてしっかり審議すべきとまで考えていた訳ではなく、後々批判されることをおそれて尋ねただけであること、政府事故調のヒアリングを受けた際は、貞観地震と津波に対する問題意識について少々誇張して話しており、直ちに対策を講じなければいけないという危機感は持っていなかったこと、平成23年3月7日に東京電力の説明を聞いた際も、直ちに危機感を持って対策を要求することは全く考えられなかったこと等が記載されている。これらの調書を読むと、小林室長はあたかも、貞観地震津波についての知見の進展状況や東電の検討状況等を十分に踏まえつつ、敢えて、直ちに対策を講じるよう指示をしないという判断をしたかのような印象を与えられる。

なお、小林勝氏は、令和4年春に原子力規制庁を退官し、技術参与を経た後、東京電力の訴訟代理人を務めるTMI法律事務所の参与に就任している。

⑤ その他

供述調書を直接読んだことはないが、特に双方申請という形になっていた証人、具体的には、久保賀也氏、髙尾誠氏、酒井俊朗氏及び今村文彦氏については、前記同様の二面的な複数の供述調書が出来ている可能性が高い。その他の証人や被告人についても同様の供述調書の対ができていることは十分考えられ、それらの内容の転換点が平成25年3月であるものと推認される。

 

⑵ 因果関係立証のための供述調書

刑事裁判で甲C号証と呼ばれていた調書がある。本件刑事裁判は、福島第一原発事故によって、現場作業員13名を負傷させたこと以外に、双葉病院とドーヴィル双葉の入院患者・入所者合計44名を、長時間の搬送や待機のために死亡させたことによる業務上過失致死の刑事責任が問われているが、死亡したことが、地震や津波のせいでもなければ、寿命や病気のせいでもなく、原発事故のせいであることを立証できなければ、業務上過失致死罪は成立しない。この因果関係の立証のための調書作成は、福島第一原発事故を発生させたことの刑事責任を問えるだけの過失の立証がなければ、無意味なものである。

福島地方検察庁の数名の検事は、この因果関係の立証のために、双葉病院の医師・看護師、ドーヴィル双葉の施設長・職員、自衛隊員、福島県職員、双葉警察署の署長・副署長など、請求証拠となっているだけでも約26通の供述調書を、場合によっては遠方の異動先まで出向いて作成した。そして、亡くなった入院患者や入所者は、直ちに命の危険があるような状態ではなく、原発事故による過酷な避難等のために亡くなったことを、詳細な事実経過を記した供述調書によって立証した。

過失の立証見込みがなければ、検察庁はそこまでしなかっただろう。甲C号証を読んだ時、私は、「検察庁は、やっぱり起訴するつもりだったんだ」と改めて思った。

上記調書の作成期間は、平成24年11月30日から平成25年3月18日までに限られている。平成25年3月の方針転換がなければ、因果関係の立証のための証拠はもっと積み上げられ、被害者の範囲も拡大されたかもしれない。

 

⑶ 検察官が作らせた歯抜けの防潮堤

平成25年3月の方針転換とは直接は関係ないが、検察庁が被疑者を無罪にするための証拠を作ったという点では、歯抜けの防潮堤の話は無視できない。

海渡雄一弁護士が歯抜けの防潮堤と呼んでいる、防潮堤を想定した津波のシミュレーションの資料が存在する。それは、平成20年のO.P.+15.7mの津波シミュレーションでは津波が主要建屋の設置された地盤面を超えるのは、南と中央と北の部分に限られることから、そこだけ防潮堤を建てて、タービン建屋やコントロール建屋の東側には防潮堤を建てず、3.11津波は東側からも襲来したらか、防潮堤を建てても福島第一原発事故は防げなかったというシナリオである。このシナリオは、結果的に刑事訴訟よりも国賠訴訟の方に多大な影響を与えた。

この珍妙な歯抜けの防潮堤案は、福島第一原発事故前に東電が検討していた津波対策ではない。東電が責任を免れるために事故後に自ら考え出したものでもない。東京地検が、起訴相当決議が出されて2度目の捜査をしていた平成26年10月頃、東京電力と東電設計に依頼して作らせたものであることが、公判廷における久保氏や髙尾氏の証言から明らかになっている。

 

⑷ 小括

信州大学教授・丸橋昌太郎によると、検察の起訴有罪率99.9%に比べて、嫌疑不十分に対する起訴議決の第一審の起訴有罪率が12.5%(8件中1件)であり、そのことは、「検察官の起訴精度の高さを示すものになったといえよう」と評されている(法学教室No.476、2020年5月号132頁)。

しかし、検察庁は、検察官の起訴精度が高いと思わせられるよう、せっせと無罪を立証するための証拠作成、証拠収集ができることを忘れてはいけない。特に、検察審査会で起訴相当決議が出されることが予測される、社会的耳目を集めている事件については、検察庁は1度目の不起訴の前から、無罪を固めるための作業に着手し、不起訴にする期日は誰に指定されるわけでもない。検察庁には、1度起訴相当決議が出された後にもさらに無罪にするための証拠作成の機会が与えられるので、検察庁にとっては極めて手厚い手続保障が制度上あるといえる。通常の検察官起訴事件では、有罪判決獲得に検察庁の面子がかかることになるから、無罪方向に使える証拠を検察庁が作成することは基本的になく、検察審査会の起訴事件とではその点で雲泥の差がある。

また、検察官起訴事件と、(特に嫌疑不十分となった事件についての)検察審査会(指定弁護士)起訴事件とでは、各段に有罪率が違うため、後者については、裁判官から、「所詮は素人の検察審査会が起訴した事件だから、どうせ無罪だろう」と、色眼鏡で見られるおそれもある。

私は、東電刑事裁判がもし検察官起訴事件となっていたとしたら、有罪判決が出されていた可能性が高いと思う。指定弁護士には刑事弁護の諸先達が就任し、有罪立証のために尽力されたことを疑う余地はないが、それでも検察官起訴事件と検察審査会起訴事件との差は大き過ぎて埋まるものではない。

我が国の原子力政策の行く末に大きな影響を与えることも想定されるこの無罪判決。そのシナリオは、既に平成25年3月、検察庁内部で描かれていた。元々は起訴するシナリオを描いたのに、なぜそれを書き換えたのか。その一部始終がブラックボックスのままで、真にこの国は民主主義国家といえるのだろうか。

 

(後編へ続く。)

 

弁護士 甫守一樹(本部オフィス)

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お野菜の話

先日、駅からの帰路で八百屋の前を通りすぎるとき、キャベツの驚きの安さに足を止めました。しっかりと大きさのあるキャベツがありがたい値段で、手にとってしまいました。

レジに並びながら店内をぼうっと眺めていると、ころころとした芽キャベツが並んでいました。「芽」という言葉に春の訪れを感じるなと思い、どういった料理に使うのが良いのだろうかとスマホで調べてみると、なんと冬が旬のお野菜でした。つぼみのようなぎゅっと詰まった見た目、新芽を彷彿とさせるネーミングにすっかり思い違いしていました。

もう3月とはいえ、まだまだ寒いから冬野菜もよく育つのか、などと考えながら、厚手のコートを身にまとってレジに並ぶ買い物客の列に連なっていると、私の番がきました。ふと、レジ横に陳列された目玉商品に目をやると、春野菜定番の新玉ねぎがありました。あ、やっぱりもう春がくるのかと、思わず一つ手にとってしまいました。

キャベツの安さにつられて始まった買い物でしたが、芽キャベツに冬の名残を感じ、新玉ねぎに春の気配を感じて、思いがけず季節の移ろいを感じるひとときでした。

本部オフィス 事務局S

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決意表明のその後

昨年のオーストラリア旅行の後、英語の勉強を始めると決意表明をしていました。http://www.bengoshi-honryu.com/blog/date/2025/04

韓国語・中国語の学習を続けている池永真由美弁護士から、語学学習だけでなく各国の歴史等についても勉強している話を聞くと、よし、私も!と気合が入るのですが、何から始めたらいいのか、自分がどこまで英語を理解できているか、それすらも分かりません。

ひとまず、自分の実力がどれくらいなのか把握するため、中学卒業程度の英検3級の勉強から始めました。中学卒業から数えたくもない年数が経っていますが、購入したテキストを解いてみると間違いが少なかったので、すっかり調子に乗ってしまい、高校中級程度の準2級の受験から試そうと、まずは英単語を記憶しているか確認するため単語帳を購入しました。

私の高校時代とは、よく出る英単語に変化はあるかと思いますが、それでも記憶している英単語の少なさに落ち込み、やる気スイッチが完全に消滅することもあります。

毎日これだけは絶対!と決めていた時期もありますが、私には負担になってしまうので、のんびり勉強しています。このペースだと、準2級の合格どころか受験さえもまだまだ先になりそうです。

 

本部オフィス(福岡市東区)事務局I

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日本弁護士連合会の第67回人権擁護大会に参加して(2025/12/11、12〜in長崎)

日本弁護士連合会による今年の人権擁護大会では、

・「ともに学び・育つインクルーシブ教育及びともに生きるインクルーシブ社会の実現を求める決議」が採択され

・「戦争をしない、させない 長崎宣言」が出されました。

 

私は、前日に開かれたシンポジウムのうち、第2分科会「再び戦争の惨禍が起こることのないように〜危機の時代の私たちの選択」に参加しました。

はじめにその趣旨として、今年は、広島・長崎での被爆80年を迎えましたが、日本は2017年に採択された核兵器禁止条約に署名を拒み続けていること、軍事的な抑止力を強化することが唯一の手段であるのか、日本国憲法の理念である恒久的平和主義に基づく方策はあるか、を共に考え、核兵器のない世界の実現を目指すという説明がされました。

 

基調講演や日本の各地域からの報告では、現在、沖縄や九州各地で軍事力が強化されているという現実を突きつけられました。

また、世界では核抑止論をよく見聞きしますが、ここで一番考えなければならないことは、仮に核抑止に失敗した時にはどうするのか、核使用に伴う国際法上の問題、人道上の影響の分析が不十分であるという指摘がありました。

さらに、国際法では、戦争の対象から一般市民が除外されているところ、その実、核抑止論は一般市民も含めた脅威を前提としているので矛盾しているのではないか、つまり核に対する恐怖が抑止の仕組みとして利用されているとの説明もありました。

そして、核使用に伴う人道上の影響を考える上では、この被爆地長崎で起きたことから学ぶという「長崎リアリズム」が提唱され、長崎で起きたことから学ぶ姿勢の大切さを身に染みて感じることができました。

そのほかにも、高校生平和大使(長崎)の報告、パネルディスカッションなど、本当に多様な角度から考えさせられる内容であり、とても素晴らしいシンポジウムとなりました。ここで感じた思いを少しでも前に進める取り組みの必要性を感じています。

 

弁護士 池永真由美(本部オフィス)

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新人弁護士奮闘記!~第3回~

弁護士の永田です。

 

弁護士登録後間もなくして法テラスと国選弁護人契約を締結したのですが、10月初め頃に刑事の被告人国選事件の割り当てがあり、11月下旬に公判期日に臨みました。今回は初めて受任した刑事事件についてのお話です。

 

検察官が公判請求(起訴といいます)をすると、刑事裁判が開かれます。刑事裁判では、最初に、裁判所が被告人に氏名や生年月日、職業、住所、本籍等を尋ね、出頭した者が被告人本人であることを確認します。確認後、検察官による起訴状の朗読が行われます。次に、裁判所から被告人に対し黙秘権などについての告知がされます。そして、被告人及び弁護人が起訴状に記載のある罪について認めるのか争うのかを明らかにします。以上の冒頭手続が終わると、証拠調べ手続に移ります。同手続では、通常、検察側から冒頭陳述が行われ、立証しようとする事実が明らかにされます。刑事裁判では、犯罪事実について検察官が証明する必要があり、弁護側は検察官の証明を覆す事実や被告人に有利な別の事実の立証を行います。証拠調べ手続が終わると、同手続によって明らかになった事実をもとに検察官は量刑についての意見(求刑)を述べ、弁護側からも犯罪の成否及び量刑等について意見を述べます。そして、最後に被告人が事件についての意見を述べます。裁判所は、検察官及び弁護側の意見、被告人の発言や態度を踏まえて、後日判決を言渡します。

 

刑事裁判の手続は概ね以上のようになっています。

 

受任後程なくして検察官から証拠の開示を受けました。弁護人は、証拠の開示を受けると証拠意見(検察官が請求した証拠を裁判所が採用するかどうかについて賛成又は反対の意見)を述べなくてはいけません。各証拠につき、採用する必要性が認められるかどうかを慎重に検討しました。その結果、一部の警察官面前調書については不同意とし、その他の証拠は同意するとの意見を述べました。

 

刑事裁判では、被告人が裁判官や検察官、弁護人から直接質問を受ける手続があり、これを被告人質問といいます。私なりに準備をして臨んだつもりでしたが、法廷で期待した答えを引き出すことはできませんでした。検察官からは詳細かつ具体的な質問が投げかけられており、法廷という場において、対立当事者から学ばせてもらう形になりました。

 

今回が私にとって初めての刑事事件でした。当事者(弁護人)として初めて立つ法廷で極度の緊張に呑まれたのか、被告人に質問する際の自分の声は震えていました。

 

内容面についても、もっと弁論要旨の構成を改良できたのではないか等、振り返ると多くの課題が見つかった刑事弁護活動でしたが、時間に制約がある中で、自分の頭で悩み抜いて処理方針を考えた上で、一人で法廷に立つという、貴重な経験をすることができました。

 

今回の事件は、私が初めて単独で受任した事件でもあります。今後も少しずつ先輩弁護士の手を離れて一人で事案の処理に当たることになります。戸惑うこと、悩むことは沢山あると思いますが、様々な事案をこなしながら、弁護士としての自信を少しずつ付けられるようになれたらと思います。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

弁護士 永田智大(本部オフィス)

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書くことから始める

近ごろ、「QOL」、「ワークライフバランス」や「朝活」のような自分の生活や時間の過ごし方に関する言葉をよく耳にするようになりました。それでも実際は何もせずゴロゴロして気づけば夕方だった…、そんな休日を過ごすことも少なくありません。今一度、自分の時間を見つめ直すため、きちんと時間を管理しようと思い、紙の手帳を使ってみることにしました。

ビジネス向けのシンプルなもの、カラフルで自由度の高いものまで、お店には様々な手帳が並んでいました。今まではスマホのカレンダー機能くらいしか使ったことが無かったので、ページをめくりながら、「自分はどんな風に時間を管理したいのか」を考えて、自己分析やウィッシュリストを書き込めるタイプのものを購入しました。

スマホに入力するのとは違い、ペンで書くことで頭の中が整理されていき、自分が将来どうなりたいか、何をしたいかが明確になりました。初めての手帳を通し、そんな自分の時間を見直すきっかけをもらえたように思えます。

本部オフィス 事務局K

 

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妄想トラベラー

空港には、訪れた気分になれる、素敵な大看板があります。

行ったことも、見たことも無い景色の中で、満面の笑みを浮かべているのは、私??

今回も、そんな気分にさせられた、歴史的建造物が多数存在する

トルコ最大の都市イスタンブ~ル。

優雅なデザインで魅了する「ブルーモスク」、「トプカプ宮殿」、「アヤソフィア寺院」…グランバザールでのショッピングもよし。世界三大料理を食べるもよし。

構造上、同じ部屋の無い洞窟をくり抜いて造られた洞窟ホテルのある「カッパドキア」に宿泊し、日が昇るまでの薄明かりの中、ぼんやりと光りながら、ゆっくりと上がっていく気球を見ながらの朝食は如何でしょうか?

海上から楽しめるアクティビティ、「ボスポラス海峡クルーズ」は、左右どちらを見ても岸が近く、シャッターチャンスの目白押しかも…橋の下を通る瞬間は、まさに圧巻の様です。

トルコ旅行の思い出に、異国情緒あふれるベリーダンスショーも、お忘れなく!

まだまだ、これからも、身勝手な妄想の旅は続きそうです…それでは、この辺で、失礼いたします。

 

本部オフィス 事務局M

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韓国・釜山地方弁護士会と福岡県弁護士会との定例交流会(2025.9.12)に参加して

今年は、釜山地方弁護士会所属の弁護士35名の先生方が、福岡県弁護士会を訪問され、両会の交流会が開かれましたので、私も参加してきました。

同交流会は、なんと今年で35年目を迎えたとのことです。

毎年、一つのテーマを取り上げ、ともに討論を行いますが、今年はある弁護士会の制度設計や手続きといった内部的な仕組みをテーマとして、お互いに両会の共通点や相違点を確認することができ、大変充実した議論をすることができました。

討論のあとは懇親会が開かれ、先ほどの討論会とはまた違って、とても友好的で和やかな雰囲気でした。私も、ここ数年勉強している韓国語を生かして、つたないながらも、韓国語で普段のお互いの業務の話や、私生活や家族の話題、趣味などについても楽しく会話することができて、とても良い機会となりました。

来年の交流会は、こちらが釜山弁護士会を訪問して行われる予定です。

ぜひ参加したいと思います。

弁護士 池永真由美(本部オフィス)

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新人弁護士奮闘記!~第2回~

弁護士の永田です。

今回は相談について、お話ししたいと思います。

本部オフィスには様々なご相談が寄せられます。

当法人では医療過誤や建築紛争といった専門分野のご相談もお受けしていますが、その他、あらゆる分野のご相談もお受けしています。

借金トラブル(多重債務)に関するものも非常に多く、私も入所直後から複数の借金トラブルの相談をお聞きしています。そのため、多重債務に関しましては、初回に相談者の方から何を聴取すべきなのかなど、所内で事前の聴取事項の取り決めなどもありますが、私独自でも聴取事項リストを作成して相談をお受けするように心がけています。

相談時、リストを一つ一つ確認しながらにお話をお聞きしますが、頻繁に下を向いてリストを見ながら話すという対応では、相談者の方に「こんなに頼りない弁護士に依頼していいのか」と不信感を与えてしまいかねませんので、相談者それぞれが抱える課題に向き合ってお話を聞けるよう、努めています。

債務整理に限らず、全てのご相談において、弁護士は相談者の方とのコミュニケーションを通じて、何に困っているのか、真に求めていることは何かを理解するよう努める必要があると感じています。

乗り越えるべき課題は多いですが、挫けずに今後も頑張ります。

弁護士 永田智大(本部オフィス)

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新人弁護士奮闘記!~第1回~

弁護士の永田智大(ながた ともひろ)です。

今年の5月に弁護士登録し、同日に当法人・本部オフィスで執務を開始してから、早いもので3か月が経過しました。

入所直後から先輩弁護士が受任している様々な分野の事案を担当し(先輩弁護士との共同受任となります)、依頼者の方との打ち合わせ、期日への出席、各種書面の起案等を通して、事件処理の方法を少しずつ学んでおります。

書面の起案とは、文字どおり訴状や準備書面等、裁判所に提出する書類、交渉の相手方や各方面に差し出す書類の作成のことです。

起案については、受験生時代・修習生時代に学んだ起案の書き方、習得した知識をもとに、事件記録を読み込みつつ、時間をかけて作成していますが、ほぼ毎回、先輩弁護士から指摘を受けています。事件記録の読み込みが足りない、判例・文献の調査が足りない、学んだ知識を生かしきれていない、そもそも知識が足りない等、改善すべき点は実に多くあります。

事件記録の読み込みについては、例えば、医療・介護過誤事件では、起案の際にはカルテの閲覧が必須ですが、私は「SOAP」の意味すら理解していませんでした(※「SOAP」とは「Subject(主観的情報)」「Object(客観的情報)」「Assessment(評価)」「Plan(計画)」のことであり、医療現場で広く使用される記録方法の一つです)。また、患者のバイタルの数値を軽視する等、当然に注目すべき箇所を見過ごしていました。今後、様々な記録の適切な読み方を勉強していかねば、と思っているところです。

7月に入ってからは、新規のご相談において、先輩弁護士に同席して聴き取り等をさせて頂く機会が増えました。ご相談に対する適切な助言ができるようになるにはまだまだ経験が足りませんが、私は緊張のあまり早口で喋ることが非常に多いようです。安心して話して頂けるような雰囲気を作る努力が足りないと反省の繰り返しです。

相談に来られる方の多くは不安を抱えながら来所されます。単に助言をするだけでなく、相談者の方の心に寄り添うことこそが法律家としての重要な役割なのだと痛感しております。

一日でも早く質の高いリーガルサービスを提供し、安心して任せていただけるように、今後も研鑽を積んで参ります。

これから、定期的に本ブログ上で奮闘とも言える私の日常の弁護士業務などをお伝えしていきたいと思いますので、気軽に覗いていただき感想などをいただけますと幸いです。

弁護士 永田智大(本部オフィス)

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